変わりゆく街の魅力を再発見 新・小杉散歩

2019.09.25

川崎市市民ミュージアム「のらくろであります!」

現在、川崎市市民ミュージアムでは、「のらくろであります!田河水泡と子供マンガの遊園地<ワンダーランド>」が開催されています。

本展は「のらくろ」で有名な漫画家・田河水泡氏の作品をはじめ、明治から戦前にかけて花開いた子ども向け漫画の豊かな世界を紹介するもの。じつは川崎市市民ミュージアムは、1988年に日本の公立美術館としては初めて漫画資料の収集・調査研究をはじめ、現在約6万点にもおよぶ資料を収蔵する、漫画にとても造詣が深い美術館。今年は田河水泡氏の生誕120年ということもあり、市民ミュージアムが満を持して開催する、大規模な展覧会となります。

今回の展覧会は、海外から影響を受けた明治・大正時代の新聞の4コマ漫画など、物語漫画誕生の土壌を紹介する「子供漫画の黎明」、のらくろを中心に田河水泡の作品を展示する「田河水泡の宇宙」、のらくろブームに触発された子ども向け漫画の市場を解説する「子供マンガの遊園地<ワンダーランド>」、戦時下に国からの指示要綱による表現の変化を解説した「紙の上の戦争」、戦後の出版ブームによって育つ若手漫画家と漫画文化を紹介する「子供は何より漫画好きだ」からなる、5つの章で構成。当時の貴重な原画約180点と書籍を紹介しています。

「第一章 子供漫画の黎明」の展示作品から、昭和初期の単行本の紹介。川崎にゆかりのある岡本太郎の父・岡本一平の作品も。

原画や当時の雑誌、単行本など、のらくろの世界が堪能できる「第二章 田河水泡の宇宙」コーナー。

のらくろは、天涯孤独の野良犬黒吉が、軍隊で失敗を繰り返しながらも出征していくという物語。1931年に「少年倶楽部」(大日本雄弁会講談社)にて連載がスタートし、戦前としては異例の全10巻におよぶ単行本が発行されています。キャラクタービジネスとしても成功し、漫画だけでなく、アニメやレコード、グッズなども数多く作られました。

同じく「田河水泡の宇宙」より、雑誌の付録展示。

昭和初期に発行された、単行本表紙の原画。古さを感じさせない装丁デザインに目を見張ります。

昭和8年から講談社の婦人雑誌の付録としてはじまった「凸凹黒兵衛」。のらくろと並ぶ田河水泡氏の代表作。

昭和8年から講談社の婦人雑誌の付録としてはじまった「凸凹黒兵衛」。のらくろと並ぶ田河水泡氏の代表作。

田河水泡氏の作品のみならず、日本の漫画文化の成り立ちも分かりやすく学べる本展覧会。ひとつひとつ見ていたら一日がかりになりそうなほど、とても充実した展示内容になっています。時間のあるときにじっくり鑑賞するのがおすすめです。

「のらくろであります!田河水泡と子供マンガの遊園地<ワンダーランド>」
期間 : 開催中~11月24日(日)
休館日 : 月曜(10月14日、11月4日は開館)、10月23日、11月5日
開館時間 : 9:30~17:00(入場は閉館の30分前まで)
観覧料 : 一般700円、65歳以上・大学生・高校生500円、中学生以下無料

ページトップへ戻る