変わりゆく街の魅力を再発見 新・小杉散歩

2020.10.12

川崎市消防防災指導公社「市民救命士養成講習」

JR横須賀線武蔵小杉駅近くにある中原消防署内にて、月に1、2回、一般市民を対象とした救命講習が開かれていることをご存知でしょうか。

「市民救命士養成講習」という、ちょっとかっこいい名のついたこの講習は、防火防災に関する講習を指導する川崎市消防防災指導公社によるもの。
心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使用方法、気道異物除去法や止血法といった、応急手当の基本的な知識・技術を身につけることができます。

今回は応急処置の基礎を3時間で学ぶ「普通救命講習1」に参加させていただきました。

講習で配布されるテキストと口が直接当たらず息が逆流しないように工夫された人工呼吸用マウスシート。また、講習者は「市民救命士」として認定され、講習修了証が発行される。

「普通救命講習1」は、「胸骨圧迫」と「AEDの使用」が正しく行えるようになることを第一の目的としています。ビデオ映像やスライド等を使った座学講習と、人形を使って実際に救急処置を行う実技講習で構成され、ほかにも気道異物除去法や止血法など、救急車が到着するまでに私たちが行える応急処置を身につけることができます。

最初に、実例の紹介やインタビューなどで、救急車が到着するまでの救命処置の大切さを伝えるビデオを鑑賞。その後、スライドや映像を使った胸骨圧迫の方法とAEDの使用方法の座学講習がありました。

救急車が到着するまでの全国平均時間は約9分。その間に応急処置をしたかどうかで死亡率も社会復帰率も倍以上も違うというのですから、否応無しに真剣さも増します。参加している全員が、講師の説明に熱心に耳を傾けていました。

応急手当と救命曲線(「JRC蘇生ガイドライン2015対応 改訂5版 応急手当講習テキスト」より」

電気ショックを救急隊が行なった場合と住民が行なった場合の1か月後の社会復帰率(「JRC蘇生ガイドライン2015対応 改訂5版 応急手当講習テキスト」より)

1時間ほどの座学講習が終わると、休憩を挟んだ後に「胸骨圧迫と人工呼吸」と「AEDの使用」の実技講習に入ります。これは、6人ずつ4グループに分かれて、それぞれに講師がついて行われました。

実技に使う人形とAED。この日は新型コロナウィルス感染予防のため、人工呼吸は口をつけず模擬で行われた。

それぞれのグループで、まずは講師による模範実技が行われる。

まずは「胸骨圧迫」の練習です。

なによりも驚いたのは、全体重をかけて強く押すということ。人形が相手でも躊躇してしまうような強さで、早く、絶え間なく胸を押します。躊躇していると「もっと強く! 5cm胸が下がるように」と、具体的な注意が入ります。これは、体験しておかなければとてもできないことだと感じました。

「胸骨圧迫」を習得したら、次は倒れている人を見つけたところから、救急車が到着するまでをシミュレーションします。座学講習のときに何度も繰り返し説明されていたのに、いざシミュレーションすると手順が頭から飛んでしまいそうになります。次は何をすべきなのか、講師の方がアドバイスしてくれるのですが、それでも右往左往するほどです。

一連の動きの中で何度も繰り返すことによって、徐々に手順や方法が身に付いていきます。意外だったのは「AEDが必要ないというときにも胸骨圧迫はやるべきだ」ということ。そんなことはこの講習を受けなければ、まず知り得なかったことです。

張り詰めた空気の中、あちらこちらから「もしもし大丈夫ですか?」「呼吸確認!」などの声が。どこのグループもみな真剣で質問も活発に飛び交う。

実技講習を終えると、もう一度座学講習があり、今度は気道異物除去法や止血法などの応急処置や、倒れる前兆、様々な応急処置が必要なシーンなどを学びます。言われてみればそのどれもが本当に身近にあることばかり。しかし、それぞれの応急処置や応急処置をした場合とそうでない場合の比較など初めて知ることが多くありました。
最後は現在のAEDの設置数や設置場所についての説明で終わります。

講師の話によると、日本のAED設置数は世界でもトップレベルだそう。それならば、パニックに陥らず確実に使えるように、一度は実際に練習しておきたいものです。

武蔵小杉駅構内に設置されているAED。現在日本に設置されているAEDは7社製28機種ということだが、どれも誰でもが使えるように工夫がされているとのこと。また、箱の中にはAED本体に加えて救命処置に必要な様々なものが揃えられている。

武蔵小杉周辺に設置されたAEDのマップ(日本救急医療財団 全国AEDマップより)。この他、スマートフォンアプリにもAED設置場所を検索できるものが多数配布されている。

現在はコロナ感染防止を踏まえた救急蘇生法についての講習と実技もありますので、これまで応急手当てに関する講習を受けたことがある方も、参加する意味があるかと思います。人の命の大切さ、その命の脆さを痛感する昨今。この機会に「救える命を救うこと」を学んでみてはいかがでしょうか。

川崎市消防防災指導公社「市民救命士養成講習」
対象 : 川崎市内に在住、在勤、在学の中学生以上で実技ができる方
会場 : 中原消防署4階講堂他、川崎市の各消防署
開講日 : 各所不定期で月に1〜2度
時間 : 9:00~12:00
教材費 : 800円(「普通救命講習1」の場合)
定員 : 30名(現在は新型コロナウィルス感染予防のため定員数を減らして実施)
参加方法 : 電話で予約した後に申込書を提出。
※詳細はホームページにてご確認ください。

川崎市消防防災指導公社
電話 : 044-366-2475

※写真は許可を得て撮影しています。