「中原街道と武蔵小杉」4 泉沢寺・役場と商家が並ぶ神地

「くらやみ」と糸引きこうば(原総本家)

木月堀に沿って多くの木々に囲まれている広い敷地の原総本家「くらやみ」(平成10年)

木月堀に沿って右側に少し入ると(スーパー『肉のハナマサ:中原市場』の手前)道がくねっていて、広い塀をめぐらす古いたたずまいの家がある。
この家は「くらやみ」と呼ばれ、原家の総本家である。江戸時代は「神地」の名主だった。広い土地を持ち、家の回りが森のように大きな木で囲まれていたため、日中でも日光がささず、暗闇のようだったので「くらやみ」という屋号が生まれたようだ。
明治の中期、原家では蚕から糸にする仕事をしていた。青梅・福生の方から10人ほどの女子従業員が働きに来ていた。
明治30(1897)年頃は、糸引きこうばを操業していたが、いつ頃まで続いていたかはっきりしない。
中原街道沿いが次第に近代化されている現在、木月堀に沿っている「くらやみ」の閑静なたたずまいは、往時の街道の情景を今なお偲ばせている。


<< 前へ
目次へ
次へ >>