「中原街道と武蔵小杉」4 泉沢寺・役場と商家が並ぶ神地

江戸期からの瀬戸物屋(小川家)

江戸末期に建てられた商家。昭和50年に取り壊された小川瀬戸物屋。壊す前に食料品店に店先を貸与していた(昭和47年)

城南信用金庫の街道向かいの角地に、戦災をのがれた江戸末期に建築された2階建て瓦屋根の古い商家があった。
現在は街道の拡張工事で取り壊され、姿を消してしまった。
街道側の塀に「小川地理研究室」の表札があり、風情のある木造2階建ての研究室が見えた。立正大学名誉教授(地理学)小川一朗文学博士の家である。小川先生は、川崎郷土研究会や川崎市文化協会等の会長を歴任され、地域史の研究に貢献された。
小川家は江戸時代から昭和47(1972)年頃まで、荒物・瀬戸物を販売していた。
昔、このあたりには瀬戸物屋がなかったので、木月・井田・今井・新城をはじめ、有馬・野川の方からも買い物に来たり、東京への帰りに買って帰る人も多かった。
終戦前(昭和20年より前)には、土管や火鉢がよく売れ、年の暮れになると茶碗などを買う人が多く賑わっていた。
瀬戸物の仕入れは街道沿いの東京の五反田・大崎橋近くの問屋から荷車で運搬していた。

小川瀬戸物屋も左側の研究室が残り、住宅は庭の奥に鉄橋2階建てだった。
現在は駐車場となっている。左端のセブンイレブン店は以前、そば屋酒店(島田家)(平成20年)

小川研究室の跡は、角地に自動販売機のある駐車場へ(平成26年)

右側は小川瀬戸物屋で宮内へ通じる道路。左側は「そば屋酒店」(昭和46年)

そばや酒店。現在は、セブン-イレブンになっている(昭和47年)


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