新小杉開発株式会社

新・小杉散歩

2025.11.26

中原平和公園 晩秋のアート散策

晩秋を迎え、小杉の街路樹は落ち着いた赤や黄色へと装いを変えています。今回は、二ヶ領用水の遊歩道から中原平和公園へと続く散策コースと、公園内に点在する彫刻作品をご紹介します。

神奈川県下で最も古い人工用水路として知られる二ヶ領用水。 秋の遊歩道は落ち着いた静寂があり、落ち葉を踏みしめる音が心地よく響きます。犬の散歩をする人や、買い物帰りの人々とすれ違う穏やかな風景は、小杉の街の日常そのものです。



さらに歩き進めると、綱島街道の先に広大な敷地を持つ「中原平和公園」が見えてきます。 戦後、米陸軍の出版センターとして接収されていたこの場所は、昭和50年の全面返還を機に「恒久平和」を願う公園として整備され、昭和58年に開園しました。
紅葉が美しい中原平和公園

同年9月に開催された「緑と彫刻 国際彫刻シンポジウム」では、「平和」をテーマに、姉妹都市であるクロアチア共和国・リエカ市(当時はユーゴスラビア)をはじめとする世界7か国9名の著名な彫刻家を広場に招き、約2か月にわたり作品を制作。中原区が保管する当時の資料によると、日本初の本格的な国際彫刻シンポジウムとして、国内外の注目を集めたそうです。
また、このシンポジウムを通じて彫刻家同士の交流や、制作中に広場に多くの市民が訪れるなど、国際友好の輪が広がるきっかけになったようです。いまから40年以上も前に、このような豊かな芸術のシンポジウムが街にあったことに驚かされます。いまも「彫刻広場」として公園に溶け込む存在となり、季節を通して地域の人々に親しまれる広場となっています。

中原平和公園の彫刻
。「太陽」イバン・アボスカン/フランス

「太陽」イバン・アボスカン/フランス

「琵琶を奏でる少女」楊 美応/中国

中原平和公園の彫刻「大地に生きる母子」日本/細井良雄

「大地に生きる母子」日本/細井良雄

中原平和公園の彫刻「川崎のアーテミス」フランツ・クサバア・オルツァン/オーストラリア

「川崎のアーテミス」フランツ・クサバア・オルツァン/オーストラリア

「戦争と平和」レオ・コロンブルスト/西ドイツ(当時)

「戦争と平和」ジム・サンボーン/アメリカ

「門」リュボミール・カリナ/ユーゴスラビア(当時)

「門」リュボミール・カリナ/ユーゴスラビア(当時)

「亜空の環」岡本敦生/日本

「亜空の環」岡本敦生/日本

「ここより・・・」日本/秋山礼巳

「ここより…」秋山礼巳/日本

「平和と人間」レオ・コロンブルスト/西ドイツ(当時)

「平和と人間」レオ・コロンブルスト/西ドイツ(当時)

川崎市映像アーカイブにて、この広場が完成した当時の市政ニュース映像を見ることができます。
市政ニュース映画 彫刻のある広場完成(中原平和公園)【昭和59年6月15日】

それぞれの作品名と作者の名が記された「国際彫刻シンポジウム記念帖」

「核兵器廃絶平和都市宣言」の記念碑

園内では、ボール遊びをする子どもたちや、ベビーカーで散歩を楽しむ親子の姿が、秋の風景に彩りを添えていました。 特別な何かが起きるわけではない、いつもの日常。けれど、そんな当たり前の時間がゆっくりと流れていることこそが、この公園が守り続けている「平和」そのものなのかもしれません。

二ヶ領用水のせせらぎから続く、紅葉と平和を願う彫刻の散策。ぜひこの時期に、訪れてみませんか? 

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