新・小杉散歩

2021.01.06

川崎七福神めぐり2021

気持ちよく晴れ渡った冬晴れの正月二日、今年も恒例の川崎七福神めぐりの初詣に行ってきました。

中原区内の寺院に安置された川崎七福神は、毎年1月1日から7日までの松の内の期間に御開帳されます。その寺院をめぐって参拝し、七福神の御朱印を色紙にいただくことができるこの「川崎七福神めぐり」には、毎年多くの参拝者が訪れ、中原区のお正月の風物詩となっています。

今年も去年と同じくレンタルサイクルを利用しての参拝です。去年は武蔵小杉でレンタルしたのですが、今年は武蔵新駅近くの川崎第一ホテルにあるステーションからスタートしました。

電動自動車のシェアサイクルシステム「HELLO CYCLING」。借りた場所と違うところでの返却ができる便利なレンタルサイクル。事前にアプリをダウンロードして、利用したい場所のステーションを検索して予約する。

まず向かったのは「福禄寿」の安養寺。武蔵新城駅の北口から徒歩でも5分程度の寺院へは、自転車を利用す ればすぐに到着です。
福禄寿の「福」は指宝、「禄」は地位、「寿」は長命だとのこと。これを兼ね備えた人は人々に尊ばれるため、福禄寿は人望の神様といわれています。福禄寿のご真言「オンバザラユセイソワカ」を唱えて、人望を得られることを祈り、一つ目の御朱印をいただきました。

最初の寺院で御朱印入りの色紙(500円)を購入し、各寺院でその色紙に御朱印(200円)をいただいていく。

安養寺の福禄寿。心なしか現代的なお顔で親しみがわく。人望がよく表されているのではないだろうか。

安養寺は、天輪山無量寺院と称し、本尊には大日如来を安置している。永禄10(1567)年頃に開山されたといわれているが火災等の災害により多くの古文書等が散逸して詳らかではない。現在の御本道は昭和41(1966)年に再建されたもの。

安養寺(福禄寿)
中原区上新城1-9-5

安養寺の次は、すぐ近くにある「弁財天」の宝蔵寺へ。
弁財と芸能の神様として有名な弁財天。七福神の中で紅一点の女神で、河川が神格化したものだそうです。水が人間の汚れを取り除き、大地をうるおし、美しく豊かな国土を生み出すという仏教の教えから除災の神様でもあります。
災いが取り除かれ、芸能と弁財を得る喜びを享受できる世になることを、弁財天のご真言「オンソラソバテイエイソワカ」を唱えて祈願しました。

宝蔵寺の弁財天。柔らかなフォルムが魅力的で、眺めていると心が躍る。

宝蔵寺の本堂の前にある七福神の石像も人気の撮影スポット。

宝蔵寺では御朱印と一緒にお守りもいただける。お財布に入れておくと良いそうだ。

宝蔵寺は、大谷山和光院と称し本尊には子育地蔵菩薩を安置している。永正17年(1520)創建、天文年中の再建、原勘解由左衛門勝光を開基としている。

宝蔵寺(弁財天)
中原区上小田中1-4-13

次は「毘沙門天」の東樹院 多聞寺に向かいます。こちらも宝蔵寺自転車で5分強程度の近所にあります。

毘沙門天は昔から戦いの神様として尊崇され、外からの妨げを払い除ける威光をあらわす神とされています。外からの妨げとは煩悩のことで、それを般若の知恵という剣によって立ち切り、如来の護法を聴聞する多聞の力を甲冑として身を守るのだとのこと。
自分自身の煩悩を断ち切るべく、毘沙門天のご真言「オンベイシラマンダヤソワカ」を唱えてお参りです。

東樹院 多聞寺の毘沙門天。険しいお顔も自らの煩悩を断ち切るためがゆえと思えば心強いものに思えてくる。(2019年撮影)

本堂の傍、ところどころに植えられた万両の赤い実が目を楽しませてくれる。

東樹院は大栄山東樹院多聞寺と称し、本尊には不動明王尊を安置している。多門寺という寺号は、如来の説法を誰よりもよく聞いたということからついた毘沙門天の別名・多聞天に由来する。

東樹院 多聞寺(毘沙門天)
中原区宮内1-11-1

さて、ご近所を三カ所巡った後は、少し離れた西明寺に向けてスタートです。ルートは等々力緑地の中を突っ切るものをとりました。お正月だからなのか、いつもより心なしか澄んだ空気に陽光がキラキラと光っていて、冬景色の緑地もまた風情があります。キリっと冷えた空気には寒さよりも心地よさを感じました。

緑地を抜けると、「大黒天」の西明寺はすぐそこです。
大黒様が頭巾をかぶっているのは「上を見るな、うつむいて働け」との教えだそうです。一生懸命に働くことにより袋には七宝、足元には米が自然に集まる。そして打出の小槌が意のままに黄金を振り撒くことができる、というのは怠者の頭を打つからなのだとか。勤労の徳を説いていたんですね、少し意外でした。
大黒天のご真言「オンマカギャラヤソワカ」を唱え、勤労勤勉を誓いました。「怠けていたら頭を打って気づかせてください」と添えて。

こちらでは、御朱印所で飴をいただきました。口福です。西明寺はどこの寺院からも駅からも少し離れているので、みなさん甘味に癒されたのではないでしょうか。
西明寺では松の内期間中のみ、約400年前に木食上人によって作られた大黒天が本堂にて開帳されています。そちらの大黒さまは、以前撮影してこちらにアップしましたので、今年は本堂前にいらっしゃる石像の大黒天さまを御朱印とともに。こちらの大黒様のお顔も愛嬌があって素敵です。

西明寺は龍宿院と称し本尊には大日如来を安置している。発祥は諸説あるが詳かではない。江戸時代には寺子屋、明治時代初期には小杉学舎と、子どもたちの学び舎として長く利用されていた。

西明寺(大黒天)
中原区小杉御殿町1-906

西明寺で半分を過ぎました。あと3か所、あとはどこも近くはありませんけど、ほとんど平坦な道ですから自転車で走るのはそう大変ではありません。

後半、まずは多摩川を目指して中原街道を進み、「恵比寿神」の大楽院から。
インドや中国出身の神様が多い七福神の中で、恵比寿神は唯一日本生まれの神様です。徳川時代の名僧天海僧上の説によれば、恵比寿神は律儀(道徳と利益を得さしめる)、福徳(幸福)、収穫や良果(良い結果)との三つの徳をたたえているとのこと。
実りを祈り、努力を誓って、恵比寿神のご真言「オンインダラヤソワカ」を唱えました。

大楽院の恵比寿神は木彫り。新築された恵比寿堂に納められている。覗き見ると目が合った気がするのが面白い。

こちらの御朱印は自分で押すスタイル。自分で押す緊張感もまた子どもたちにとっては楽しいことのようで「頑張る!」と元気に言って真剣に押していた。

大楽院は牡丹で有名な奈良県長谷寺の直轄寺院で、日吉山大楽院神宮寺と号し御本尊は長谷寺と同じく、十一面観世音菩薩である。本堂内の釈迦如来像は川崎市の指定文化財となっており、境内の新四国八十八ヶ所お砂踏み霊場・水子地蔵尊・北向観音・恵比寿神等は、多くの参詣者を集めている。

大楽院(恵比寿神)
中原区上丸子八幡町1522

大楽院を出たら多摩川を下ります。
10分ほど下ったあたりで、上丸子にある「寿老神」の無量寺に到着です。
寿老神は延命長寿の神様。身の丈三尺と言いますから約90センチメートル、ずいぶん小柄です。石像が実物大ということでしょうか。中国の寿星で天体の南極寿星だと言われているそうです。ともなっている鹿は千五百歳で、その肉を食べたものは二千年の寿命を得ることができるのだとか。
延命長寿と、長く生きたいと思える人生を送れますようにと、寿老神のご真言「オンバザラユセイソワカ」を。

無量寺の寿老神。頭が長くないのは日本風だからだろうか。角まで丸いフォルムの鹿がなんとも愛らしく「これは食べられない」などと思ってしまう。

無量寺は、瑠璃光山長壽院と称し、本尊には阿弥陀如来を安置している。天正年間(1580)に覚源和尚により開創された。本堂は戦災によりほとんど焼失し、現在の本堂は昭和29年に再建されたものである。7月23日の地蔵尊会は、枝豆地蔵、子育て地蔵と呼ばれ善男善女で賑わう。

長寿院 無量寺(寿老人神)
中原区中丸子498

無量寺では御朱印をいただいたときに「あとひとつですね、頑張ってください」とお声がけをいただきました。
あとひとつ。3か所をまわったあたりでは少し疲れて早く回ってしまいたいと思っていたのに、あとひとつとなると少し淋しい気がしてしまいます。そんな名残りを惜しみながら、住宅街を抜けて元住吉へ。元住吉の商店街は例年より賑わっていて、人と車に気をつけつつ自転車を走らせます。

商店街を抜けて少し住宅街を走れば、最後の七福神、布袋尊の大楽寺です。
布袋神は七福神の中で唯ひとり実在の人物。布袋さまの袋の中には身の回りのものが入っていて、持っている杖をついて諸国を転々と歩いているのだそうです。度量の広い太っ腹な心で天真爛漫。そんな布袋尊を拝むことで慈悲の心を持ち広い度量で人に接することができるようになり、それゆえ愛される人になれるとのこと。
布袋尊のご真言「オンマイトレイヤアソワカ」を唱えて大きな度量にあやかります。

そしてついに7つの御朱印が揃いました。最後の寺院では、色紙に日付をいれていただきます。
今年最初の達成感、やはりなにごとかをやり遂げるのはとても気持ちの良いものです。

大楽寺の布袋さま、七福そろった色紙とともに。思わず一緒に呵々大笑したくなる風貌だ。

大楽寺は、木月山遍照院と称し、本尊には胎蔵界大日如来を安置している。開山は詳かではないが、中興開山は法印智法、天文6年(1741)3月23日寂とされている。現在の本堂は近年再建されたもの。幼稚園が併設されているのが地域とともにある昔ながらの寺院を思わせる。

大楽寺(布袋尊)
中原区木月4-22-32

お天気にも恵まれ、今年も無事に七福神をめぐることができました。
川崎七福神めぐりは、電車やバス、自転車などを利用して数時間でめぐることができるため、徒歩での参拝のほか、ファミリーでのサイクリングや、ジョガーの参加も毎年多くみられます。今年はレンタルサイクルを利用されている方もたくさんいらっしゃいました。
それぞれが違う宗教の教えの背景を持ったまま七福として信仰されるのは、八百万信仰で「おもてなし」の国、日本ならでは。なんとも賑やかで「楽しい土地に暮らしている」という喜びにも出会える七福神巡りは、お正月にぴったりの過ごし方かもしれません。

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